こんばんは!
広尾・六本木駅徒歩圏内のパーソナルトレーニングジム『FUNCTIONAL DESIGNS 元麻布』の見山(理学療法士/トレーナー)です。
膝などの関節に変形し痛みが出るほどの負担がある場合、マッサージや筋膜リリースなどのアプローチだけでは、根本から症状を改善できません。
もちろん硬さや滑走をよくするだけでも痛みが引くことはありますが、変形まで至った身体のバランスや動かし方、筋肉の張力はトレーニングによって改善されるためです。
また、かといって筋力トレーニングで筋力をつけて痛みが緩和する訳でもありません。
痛めた部分は弱いから痛みを抱えているのではなく、痛みの部位に負担がかかりすぎて痛めていることがほとんどだからです。
もちろん長年の痛みを抱えた生活により廃用性的に筋力が弱まっているケースもありますが、まずは痛みがある部分の上下の関節、左右の身体バランスの差、前後面の筋力バランスなど、全体的に機能的な身体状況を整えていくことが必要です。
大切なのは痛みをとることではあるものの、最も重要なことは痛みが出た1年後にその人自身の機能や運動レベルが向上していることです。
そうでなければただただ対処的な処置を行っただけで、身体のリスクは以前高いまま加齢していることになります。
そのようなリスクを減らすためにも今回は変形性膝関節症についてお話していきたいと思います。
本日のお話しする内容
- 変形性膝関節症について
- 変形性膝関節症とトレーニングのポイント
- 変形性膝関節症への対応
1.変形性膝関節症について
50代以降かつ、大きな原因がなく膝痛がどんどん増幅していく方が整形外科を受診した場合、たいてい『変形性膝関節症(以下、膝OAと記載します)』という診断がつくと思います。
それほど罹患率も高く、腰痛とともに発症する可能性が高い疾患です。
厚生労働省は国内での膝OA患者数が約1000万人、潜在的な患者数(X線診断による患者数)が約3000万人にのぼると推定しており、この数は増え続けることが予測され、理学療法士が膝OAの運動療法を施行する機会はますます増えるであろう。
理学療法ジャーナル 28巻1号2011年1月P196 小西聡宏ら 『変形性膝関節症に対する的確・迅速な臨床推論のポイント』より引用
変形の進行が顕著かつ痛みによる日常の生活制限が大きくなった場合は手術を行う場合があります。
病気分類(腰野分類) X所見(過重X線正面像による)
グレード0 正常
グレード1 骨硬化像または骨棘
グレード2 関節裂隙の閉鎖の狭小化
グレード3 関節裂隙の閉鎖または亜脱臼
グレード4 荷重面の摩耗または欠損(5㎜未満)
グレード5 荷重面の摩耗または欠損(5㎜以上)
腰野富久:膝診療マニュアル,p177,医歯薬出版,1992
上記のように膝OAにもグレードがあります。
このグレードと痛みは相関する方もいれば、明らかにグレード3・4レベルでありながら日常の痛みを感じていない方もいます。
変形に対して身体が適応した場合は痛みが減ってきます。例えば膝の関節の合間が消失しても、そこで可動性が低下することで、動く範囲を犠牲にしながら痛みが減っていく場合もあります。
逆に変形はじめで身体のバランスも歪なまま身体活動が多い場合などは逆にX線の状況がそこまで深刻ではなくても激痛を起こしている場合もあります。
変形性膝関節症とトレーニングのポイント
0.姿勢/歩き方から膝にかかるストレスを予測する
膝OAという診断名がついても、痛みがある組織も痛みを起こすメカニズムも一人一人特徴があります。
膝の形状もO脚なのかXO脚なのかもしくはX脚なのか、左右どちらに体重が乗りやすいのか、
骨盤と足部の動きは十分なのか、体幹はどのような形をとって歩行しているのかetc…
例えば、体重が乗りやすい側の膝OAでは…
骨盤が開きやすくなる(後方に回旋するような)→大腿骨は内旋・内転→下腿骨は外側に傾斜・外旋すようなパターンがみられることが多い(XO脚パターン)。また痛みがある上に荷重している時間が長いため負担が増幅する。
次に、体重が乗りずらいパターンでは…
骨盤はもう一側と比べると開きは少ないor開きが大きい場合は骨盤の高さが高くなっている→大腿骨は外転位or内転位だが歩行時に体重がかかると外転位を取りやすい→下腿骨は外側に傾斜・外旋する。体重が乗りづらいパターンの方がどのようなパターンで歩行するか各バックボーンに左右されやすい。
膝周囲の支持性だけではなく、股関節・体幹含めて筋力が低下していることが多い。
上記したのはほんの一例ですが、自分の身体の癖や特性を理解して効果的なトレーニングを行うことが重要です。
1.筋肉などの滑走が正常化する
まず膝の関節がしっかりと可動域が確保できているかが重要です。単にストレッチで伸ばせば伸びるものは問題ありませんが、中には筋肉と筋肉の滑走が悪く癒着しているもの、骨と筋肉の滑走が低下して癒着しているもの、膝でしたら靭帯(支帯含む)や脂肪などの滑走不全なども動きの制限になりやすいです。
林典雄ら 『関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション下肢・体幹編』p48,MEDICAL VIEW 2008.9.20
2.各関節の柔軟性・バランス・筋力に差を是正する
姿勢や歩行動作などで膝痛の原因を推測し、筋肉などの滑走を改善させることで身体を動かす準備をしたら次に、全体ではなく個々の関節や筋肉の機能をチェックして向上させていきます。
ここではまだ身体全体の動きとして対応するのではなく、各々がしっかりと機能すると全体の動きや姿勢が改善し、慢性的な痛みの改善につながりやすいです。
マッサージや筋膜リリースは受動的な治療ですので、それだけでは全体の主体的に動くという日常生活は改善されません。

ご自身の筋肉・神経を自身でコントロールしてはじめて根本的な改善(もはや改善超えて成長に近い)につながっていきます。
3.重心を変えながらも安定して動くことができるようにする
基礎的な身体の柔軟性、そして個々の関節・筋肉の機能性が改善してきた後は、四つ這い・片膝立ち・スクワットポジション・立位・片足立ち・踏み込み動作など様々な重心の位置でも機能的に関節や筋肉を使えるようにトレーニングしていきます。
まだセルフコントロールで難しい場合は道具やインソール、サポーターなども使用しながら機能的な動作を獲得していきます。
このように、膝OAと診断されても、その方の身体の特性から様々な対応方法がとられます。
自分の特性(個性)にあったトレーニングで改善していけば、痛めた時のご自身より大きく成長していけると思っています。
痛みは自分変えて成長していくためのきっかけです。
前向きにとらえながら進めるようにサポートしていければ嬉しいです!
ご質問やご相談はご遠慮なくいつでもお問い合わせフォームよりご連絡ください。
長い文章でしたがご拝読ありがとうございました。

『FANCTIONAL DESIGNS 元麻布』
広尾・六本木駅徒歩圏内
理学療法士対応パーソナルトレーニングジム
今回は『変形性膝関節症』のトレーニングについてお話していきたいと思います!