身体を痛めるトレーニングの特徴。

有名なスポーツ選手が肉体改造という目的でハードなウエイトトレーニングを行った結果、逆に成績が悪くなったということがしばしばあります。

また一般の方でもトレーニングをしているのに腰が痛くなってきたり、疲れやすくなったということで私のパーソナルトレーニングを受けに来て下さる方もいます。

ではなぜトレーニングを行うことでパフォーマンスが落ちてしまったり、身体が痛くなったりしてしまうのでしょうか?

考えられる理由としては…

①個人個人の持っている姿勢のクセが考慮されていない。

②身体の使い方が間違っている。実際に身体を使う場面が考慮されていない。

③トレーナーの医療的な知識が少ない。

上記の3つが考えられます。

①個人個人の持っている姿勢のクセが考慮されていない。

トレーニングやリハビリを行う際に一番重要なのは『姿勢』です。

ただ背筋を伸ばす、胸を張るなど大まかなことではなく。身体の左右差、骨盤の傾き、背骨のアーチ、足のアーチなど細かいところまで捉えたうえでトレーニングを行っているかがとても重要です。

姿勢が崩れた状態でトレーニングを行うと負荷がかかっている筋肉や関節に偏りがでてしまい、トレーニングの効果を半減させ、負荷がかかっている筋肉は硬くなり痛みを引き起こしたり、負荷がかかっていない筋肉はどんどん弱くなっていくことになります。

例えば、ある方が右肩が前に出て、骨盤は右側に回っているような捻じれた姿勢でスクワットをするとします。

まず、右肩が前に出ている状態でバーベルを担ぐと、右首と右腰がバランスをとるために負担が多くなります。

次に骨盤が右側に回っていると、右側に体重がかかりやすくなり、右側の腰と膝に負担が多くなります。

このような状態でスクワットを行うと右半身には負荷がかかりすぎて、特に右腰は上からも下からも負担がかかるので痛める可能性がとても高くなります。

逆に左側には負荷がかかりにくいので左側はどんどん弱くなってきてしまいます。

こうなるとトレーニングをすればするほど身体はバランスを崩していきます。

こうした状態にならないように姿勢には十分気を付けてトレーニングをするべきです。

②身体の使い方が間違っている。実際に身体を使う場面が考慮されていない。

トレーニングでは「お尻を鍛える」、「腹筋を鍛える」と個々の場所に意識がいきますが、実際の日常生活やスポーツの場面では体重の60%もある体幹を安定させ、支えながら動くので、個々の場所だけ筋肉を使うことはありません。

例えば、足腰が衰えないように太ももを鍛えている方がいるとします。

フィットネスクラブでトレーナーに指導を受け、教わったマシンに座り、背もたれによりかかった状態で膝を曲げ伸ばしするマシンをでエクササイズを頑張ります。

しかし、実際の生活では座った状態で身体を預けるシートはどこにもありません。このエクササイズだけ続けても自分の体幹の重さを支えて動く力は向上しません。すなわちこのエクササイズは足腰を鍛えるという目的に対しては効果的ではないということです。

しっかりと身体の重さを支えながらトレーニングをするべきです。

③トレーナーの医療的知識が少ない。

トレーナーに医療的な知識と経験が少ないと、障害を予防する機会を見逃したり、身体の負担を考慮できず筋肉や関節を痛めてしまうこともあります。またもともと既往があったり今もどこか痛めている場合など、その疾患を見てきた経験が不足していると効果的なトレーニングを実施できないことがあります。

私は理学療法士という医療専門職の国家資格を取得しています。理学療法士として整形外科で経験を積みましたが、その際どうしてこのクライアントは怪我をしてしまったのか、どうすれば効率的にパフォーマンスを改善できるのかという視点で年間数えきれないほどのリハビリやエクササイズ指導を行ってきました。

トレーナーに医療的な知識と経験があると、怪我の予防ができたり、身体の不調を改善しながらトレーニングができるメリットがあります。

またこうすると身体に負担がかかるというのを深く知っているからこそ、逆に身体に負担がない効率的なパフォーマンスアップ指導が可能になっていると思います。

しかし、身体に多くの負担を与え、筋肉を大きくするボディビルダーのような身体づくりには向かないと思いますので、自分の目的に合わせてジムやトレーナーを選んでください。

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